マンションでは給排水による断水だけでなく、停電でも断水することがあります。仮設トイレが設置されても、一日に何度も階段を上り下りするのは、体力的に大きな負担になります。マンションは構造がしっかりしているので、避難所よりも自宅にとどまる可能性が高いです。自宅でトイレ難民にならないよう対処方法を考えておきましょう。高齢者や児童がいるご家庭では夜中に仮設トイレに行くのは無理と考えて非常用トイレの備蓄はしておきましょう。
マンションの給水方式には大きく3種類の方法があります。ご自宅の給水方式を確認しましょう
◎高架水槽方式◎
受水槽に貯めた水を屋上の高架水槽へ送り、重力を利用して各戸に配水します
利点は受水槽・高置水槽に貯水されている分の水は一時的に使用できる
欠点は低層階では水が出にくくなる。屋上高置水槽は震災の揺れで破損することもある
◎ポンプ直送方式◎
水道管から受水槽に貯めた水を吸水ポンプで、直接各戸へ配水する
利点は受水槽に貯水されている分の水は一時的に使用できる
欠点は停電時にはポンプが作動しない。使用するには受水槽から直接、組み出すことが必要になる
◎直結増圧方式◎
水道管から給水ポンプによって直接各戸に配水する。最近のマンションの主流
利点は断水・停電でもポンプの仕様によっては1階~2階くらいまでは水が出る
欠点は中層・高層には水が出ない。受水槽がないため、緊急時の水を組み出すこともできない
地震によりマンション内の配管が損傷していると、流した水でトイレや台所、風呂場から汚水が漏れてきたり、逆流することがあります。災害時に備えて風呂に貯水して、トイレに流せば使用できると言われていますが、
下の階の住民などに影響を及ぼすことも考えて、マンションでは排水に注意が必要です。
配水管の損傷確認ができるまでは、トイレの水は流さない。非常用トイレを使用する。これからのマンション防災では必要なルールです。
阪神淡路大震災では仮設トイレも、バキュームカーも数量が不足し、トイレ対策は深刻な問題となりました。東日本大震災でも避難所のトイレが断水や泥の詰まりで使えなくなりました。自治体の対応にも差が出て、新しい洋式の仮設トイレが配備されたところもあれば、古い和式の仮設トイレしか配備されなかったところもありました。中には、大便を新聞紙に包んでゴミ箱に捨てるという衛生的にも精神的にも過酷な対応方法しか取れなかった避難所もありました。
【非常用トイレを持っている場合】
【非常用トイレも持っていない場合】
女性や高齢者はトイレを我慢して膀胱炎になったり、水分を取ることをやめて脱水症状になることが多いです。災害時に一番困るトイレ問題。ご家庭の防災備蓄では、非常用トイレを必需品にしましょう